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難陀龍王立像
(なんだりゅうおうりゅうぞう)

難陀龍王は仏法を守護する八大竜王の筆頭に数えられる龍神です。 兄弟の抜難陀龍王(ばつなんだりゅうおう)とともに、雨を司る神とされ、頭に龍の頭を持つ姿で描かれます。
特に日本では雨をもたらす水神として重要視され、雨乞いを行い、信仰されてきました。
この像は明田の小坂山登山道入り口の泉に「りゅうおうさん」として親しまれてきた「龍王堂」に安置し、お祀りされていました。しかし、昭和51年頃、大雨で背後の山が崩れ地下水脈が変わったため泉は枯渇してしまいました。さらに、令和7年、経年劣化によりお堂も崩壊してしまいました。
像は道教の神様と同じ姿で作られています。これは奈良の長谷寺蔵の重要文化財難陀龍王像に似ています。
手に持つお盆に乗せられたものが失われていますが、「如意宝珠」か、海からの捧げ物があったと考えられます。
また、お盆に添えられていたと思われる右手首が欠損しています。
足元には波が彫刻されており、「水」を司る神としての業となっています。そして台座には3面に龍が彫られています。
像は神体のみの高さが23.5cm、足元の波を含めて33㎝、台座を含む全高は43cm。台座の幅24.5cm像底に「利貞」の銘があります。
彫刻は精緻で、頭部から背中を通って足元まで、龍の体躯が力強く巻き付いている龍の躍動感があふれています。鱗の一枚一枚まで丁寧に刻まれており、これが単なる装飾ではなく、龍王と一体化した守護の象徴であることが強調されています。肩から背中にかけて、流れるような木目が美しい。
素材の性質を熟知した「利貞」が、木目を水の流れや衣の質感に見立てて彫り上げているのがよく分かります。
前面よりも背面の木肌の方が、より深い褐色(飴色)に変化しています。歳月を経て村の人々の祈りとともに深みを増してきた証です。経年による風合いが見事です。
台座には、正面に一対の龍が彫り込まれ「阿吽」を表しています。左右の面にもそれぞれ龍が彫られています。
全身は手などの寄木のほかは一木彫かとも思われますが、素材、彫刻の種類、彫師などの詳細は、今後の調査を待たなければなりません。
像は明田の新羅神社境内において秘祀しており、通常は拝観することはできませんが、秋祭りなど特別の日に拝観できるように考えてまいります。
(令和8年4月 明田自治会)





竜王堂(昭和51年3月)
明田自治会様、ご提供ありがとうございました。